
2006年に放送されてからずっと人気があるドラマ『結婚できない男』。
阿部寛さん演じる桑野信介のキャラ、最初見たときは「なんだこの面倒くさい人…」って思ったのに、観てるうちにだんだん親近感が湧いてきて、自分でもちょっとびっくりした。
でも、離婚経験のある“バツイチ”の立場でこの作品を見ると、また違った感情が湧いてくるんですよね。笑ったり、刺さったり、考えさせられたり。今回はそんな“バツ2目線”で、このドラマのリアルさに迫ってみます。
桑野の“自由だけど孤独”な生活に、なんか共感してしまう
彼の一人暮らしって、最初は羨ましかったんですよ。部屋は完全に自分好み、食事も好きなものだけ、時間の使い方も自由そのもの。あ〜いいな、って。
でも観てるうちに、「あれ?なんか寂しくない?」って思い始める。
誰かと何かを共有することのない日々って、自由と引き換えに何かを失ってる気がしてくるんですよね。
実際、私も離婚して一人になったとき、最初は「一人最高!」ってテンション上がってたんです。だけど、ふとしたときに話し相手がいない寂しさに気づいて、なんとも言えない孤独感に包まれたことがありました。
その感覚、ドラマの中の桑野にもじわじわと重なっていって、気がつけば画面越しにちょっと切なくなってたりして。
「結婚しない」って、ホントに自分の意志?
桑野って、「俺は結婚しない主義」って堂々と宣言してるけど、それって本心なのかな?って思う瞬間が多々あります。
私も離婚してしばらくは、「もう結婚とかコリゴリ!」って口では言ってたけど、心の奥では「また誰かと向き合いたい」って気持ちがくすぶってた。
だけど、それを認めるのが怖かった。再び傷つくのが嫌だったから。
桑野のあの強がりって、たぶん多くの人が感じたことのある“防衛本能”なんじゃないかな。ああいう「拗らせ方」、妙にリアルで、見てると自分を突きつけられる感じがしてドキッとするんです。
少しずつ変わっていく桑野に、自分の未来を重ねたくなる
ドラマの中盤以降、桑野が早坂先生との関係を通じて、少しずつ他人との距離を縮めていくんですよね。最初はあんなに人を寄せ付けなかったのに、ちょっとずつ、でも確実に変わっていく姿が描かれてて。
その変化がね、めちゃくちゃ沁みるんですよ。
私も離婚して、「もう恋愛とか人付き合いとか面倒くさい」って思ってたけど、そんな自分を変えるのも、また一歩踏み出すのも、ほんの小さなきっかけからなんだろうなって思えました。
桑野の生き方に救われた、バツイチの自分
このドラマが心に残るのは、いわゆる“幸せのかたち”を押し付けてこないところ。
結婚してなくても、ちゃんと自分の世界を持っていて、満足している桑野の姿に、妙に安心させられるんです。
特に印象に残ったのはこの2点:
- 「結婚=幸せ」じゃない、という価値観をはっきり描いてくれている
- 他人の期待に応えなくても、自分を信じて生きる姿勢がカッコいい
正直、離婚した直後は「人生詰んだかも…」って本気で思ってました。でもこのドラマに出会って、ちょっと気が楽になったというか、「あ、別に“結婚してるから幸せ”ってわけじゃないんだな」って、心がほぐれていった感覚があったんです。
もう一度、人と向き合えるかもしれないと思えた瞬間
桑野が他人との関係性を少しずつ築いていく過程って、離婚経験者にはものすごく励みになる。
「もういいや」って閉じた心に、「いや、まだ捨てたもんじゃないよ」ってそっと声をかけてくれるような感じ。
私もこのドラマを観てから、ちょっとした会話や誰かとの時間を「悪くないかも」って思えるようになったんです。
あの柔らかい変化、じんわり染みてきました。
『結婚できない男』がくれた、もうひとつの生き方
この作品のすごいところは、「結婚しない人生」だって全然アリだし、むしろそれが自分にとって正解かもしれないって思わせてくれるところ。
結婚しないと不安…という思いも確かにあるけど、それと同じくらい、「一人でも、自分らしく生きられる」って可能性もちゃんと描いてくれてる。
それって、すごく今の時代に合ってると思うし、離婚した人間にとっても、大きな励ましになるんです。
自分の人生、自分でデザインしていい
結局、結婚しててもしてなくても、再婚してもしなくても、大事なのは“自分が納得してるか”ってことなんだと思います。
私はこのドラマを通じて、「誰かの期待」や「世間の目」じゃなくて、「自分の価値観」を大事にして生きていくってことの意味を、少しだけ理解できるようになりました。
たとえば、ペットと暮らす幸せ、仕事に打ち込む喜び、趣味に没頭する楽しさ──どれも、ちゃんと“人生”なんですよね。
バツイチだからこそ見えてきた、『結婚できない男』の深み。
このドラマは、ただのラブコメじゃない。
それぞれの人生を、ちゃんと肯定してくれるような、そんな優しい力がある作品だと思います。